このはてしない空に  きしむ足音が響き 熟れた畑を蹴ちらし  黒いひづめが近づく 灰降りそそぐ屋根に  もうこうのとりも来ない 木々は硝煙にまみれ  歌も実りも枯れはて 人々は愛を忘れ  憎しみだけが吹き荒れ 灰降りそそぐ屋根に  もうこうのとりも来ない 森はざわめき語る  大地と河はうめく 「みんな逃げろよ早く  厳しい冬が来るぞ」 人々の去った村に  もうこうのとりもいない この美しい空に  ひびく戦さの足音 鳥たちの声もだまり  人は目をふせてささやく 灰降りそそぐ屋根に  もうこうのとりも来ない            
© 新井英一ウェブサイト. 翻訳, 1998
石井好子, 1988