宇宙でなく、地層数メートルがぼくに入用、
炭坑のなかでは華やかな式典どころではない。
ぼくらは宇宙のための技術とともに
もっとも地球的な職業もこなしている。
ぼくらの一人一人がまさに魔術師、
地獄から石炭を掘りあげている。
ぼくらは鬼どもから燃料を奪い、
やつらには釜を焚くものがなくなる。
爆破され、砕かれ、積まれた
頼りになる黒い金だ。
そうさ、ぼくらは埃にまみれた悪魔そのもの。
その代わり、ぼくらの列車は空 (から) では出てゆかない。
ぼくらは母なる大地の腹を痛めるが、
地上はそれで暖かく、しっかりとなる。
心を楽しませるトロッコの列が
アクション映画さながらに疾走する。
ぉ国に石炭をあげる1 という冗談を
ぼくらは自分の掌 (たなごころ) のうえに感じる。
爆破され、砕かれ、積まれた
頼りになる黒い金だ。
敵の爆弾が掘り返した畑や野原を
忘れてはならぬ、怒りの眼 (まなこ) でみつめよ!
しかし、ぼくらは宥 (ゆる) せ、恵みの大地よ、
腹のなかを掘ってゆくことを宥せ。
闇のなかで迷うことを恐れるな、
塵にむせることも、君は一人じやない!
前へ、下へ、掘削機にかかろう!
ぼくら自身がこの迷路を掘ったのだ。
爆破され、砕かれ、積まれた
頼りになる黒い金だ。
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