なんで君らは山にゆくの ?とぼくはきいた。
君は頂 (いただき) を目指し、闘志に燃えていたね。
飛行機からならエルブース1 はよく見えるというと、
君は笑って、 ついてらっしゃいといった。
その時から君は親しい、いとしい人になった。
ぼくの女アルピニスト、女登山家よ。
初めてぼくを割れ目から引き出した時、
君はほほえんでいたね、ぼくの女登山家よゾ
それからいくつも呪われた割れ目を越えた。
君のつくった夕食を うまいなとほめたら、
首すじを二つ軽くたたかれたが、
ぼくはむくれるどころか、はっきりいったね。
おお、なんて君は親しく、いとしいんだ、
ぼくの女アルピニスト、女登山家よ
割れ目のなかのぼくを探し出すたびに、
君はぼくを叱ったね、ぼくの女登山家よ !
それからいつも一緒に登るようになったが、
なぜ君はぼくに対して疑い深かったのだ ?
君はぼくを楽しそうに引っ張りあげたね、
ぼくのしなやかな女アルピニス卜よ !
おお、なんて君は冷たく、憎らしいんだ、
ぼくの女アルピニス卜、女登山家よ !
絶壁のうえでぼくを引きあげるたびに、
君はぼくを罵ったね、ぼくの女登山家よ !
君のしたでぼくは力をふりしぼった、
君のその足許までもう一歩のところだ、
さあ、はい登り、 もう、けっこう !といおう。
そのとたん、ぼくは落ちたが、いう間はあった、
おお、なんて君は親しく、いとしいんだ、
ぼくらの女アルピニス卜、女登山家よ、
ぼくらは一本のザイルにつながれている、
ぼくら二人は登山家カップルになったんだね.
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