助走、踏み足で土を蹴る・・・跳びあがるのが恥かしい
口の中におが屑 - まぶたの下から涙
呪わしい限界は一メ一トル十二で
飛びあがる俺をバーがさえぎる
正直に言っちまうが
—瞬だけ上にいて
ガバーッと落ちてしまうのが
スポーツ人生のすべてなんだ
だが俺は禁断の木の実を食い
名誉のしっぽにしがみつく
みんなの踏み足は左なのに
俺の踏み足は右なのさ
助走、踏み足で土を蹴る...下降の目擊者たち
口笛を吹き、足をどん底へと引っ張る、
監督は俺にずけずけ言う
『お前はな、幅飛びでもやるがいい!
腿の付け根が伸びてるんだ
右足で飛ぶなんて馬鹿げた気まぐれだ
空中に留まっていられないで
勢いよく落ちるだけだぞ』
だが...息をつまらせながら怒ったように
俺はちゃんと説明した、大事なのは
奴らの踏み足は左だが、
俺のは右ってことなんだ、と
助走、踏み足で土を蹴る、俺はカナダ人にはかなわない
奴は空中で俺の顔見て笑いやがった
俺はまたも一メ一 卜ル十二のバーを落とす
そしたら監督はずばりと言った
俺を池の水に漬けてやる、って
人のみせしめになるように
もし俺が、今すぐにもやめないならば
間違った右足飛びをきっぱりと
でも俺は毒入りの酒を飲み干すか
何か別のことをやった方がましだ
それでも正しくない右足を
決して変えない、正しい左足に!
客席は一斉に笑い出す
だが頑固な俺は笑われてもくじけない
助走、踏み足で土を蹴る、飛び上る
一メートル十二はもう越えた
足の付け根が伸びていようと
足がどうかしてしまおうと
やっぱり俺は飛んだのだ
俺を下に落とそうなんてできないぞ
だって俺は禁断の木の実を食ったのだ
そして名誉のしっぽをつかまえたのだ
みんなの踏み足が左だろうと
俺の踏み足は右なのさ
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