汽車に乗ってても、自動車に乗ってても
酒などひっかけて散歩していても
今どきのようにくるまが多くちゃ
人生最後まで歩き通すのもままならぬ
ほう交通事故だ、モスクワ川の川向う
三人がひとりを墓場へ運んでた
運転手も三人もみんな大怪我
墓に人る奴だけ無事だつた
雇われの泣き婆さんがおいおい泣き
坊さんも金が安いとちゃんと歌わず
葬送の楽隊のラッパは偽りの大音響
墓に人る奴だけが虚偽とは無縁さ
かつての偉いさん、本当は強盗
うやうやしく額にキス...脇向いてぺッ
みんながそうするが、つつましい故人
そんなキスさえしないんだ
だが...雷鳴が轟き——さて、困ったぞ
大自然の力に言葉は無力
みんなは枝や屋根の下に逃げ去った
故人だけは逃げもしないさ
雨がなんでぇ、どうってことないのさ
生きてる人間と鍛え方がちがうさ
死人はかつての人間だが
大胆な人間で、俺たちとは較べものにならん
どんなに急いだって、也いつかれる
おでこにピタリ貼られるのさ、レッテルを
でも、怖いことはないのさ
樫の木の棺桶に,入った後ならば
かまわねぇのさ、独立のでも共同住宅でも
死んだ人間なら住宅問題に悩まない
ほんと、偉いもんだよ、死人って人は
なんにも下らねぇ心配しないんだもんな
閤の王国 - この巌格な社会には
危険もなけりゃ心配もない
ところがこちとら——みんな神様の下で暮らしてるのに
不安がないのは棺桶の中だけさ
非難が間える、『死人を誉めてるぞ !』
そうじゃねぇ、俺は不運に腹立ててるのさ
俺たちみんないつか誰かに締め殺される
棺桶の中の奴を除いて、みんな
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