無名戦士の墓に十字架は立てない 未亡人たちがそこで泣くこともない 誰かが花束を彼らに捧げる 永遠の火がともされる この地にかつて大地が逆巻き 今は——花崗岩の板が立つ ここに個々の運命はひとつとてなく 全運命が一つに立つ 永遠の火の中に燃えあがる戦車を見よう 燃えあがるロシアの農家を 燃えあがるスモレンクスを、ドイツの国会を 燃えあがる兵士の心を見よう 無名戦士の墓のそばで目を腫らす女はいない ここへ来るのはしっかりした連中 無名戦士の墓に十字架は立てない だからと言って、気が楽になるか ?
© 宮沢俊一. 翻訳, ?