今日のこの日 空は明るい だが今は兵器の音が 空にきしむ われらの土地は 轟音に満ち 木々は油にまみれ 悲しそう 煙や灰が立ち昇る 十字架のように 家々の屋根に巣をつくらぬ こうのとり 麦穂が色づき琥珀色に なるだろうか? いや !俺たちは無駄な 種播きをした 何があそこで琥珀色に 光っているのか? あれは畑を火事の炎が のたうっている 不幸を逃れてちりぢりに みんなが去った 鳴きかわす鳥はいない からすさえ 木々が埃にまみれるのは 秋近く 歌ができたことは 投げ棄てられ 愛とさえ縁なきわれら だってそうさ 今最も大切なものは? 憎しみだ 煙や灰が立ち昇る 十字架のように 家々の屋根に巣をつくらぬ こうのとり 森はざわめく、いつものように 梢をふるわせ だが、大地と水は うめきをもらす 奇跡だって少しはある 呼びかけている 森が、戦争の前の音で   不幸を逃れてみんなが去った 東の方へ 鳴きかわす鳥はいないし こうのとりもいない 空気は妙なる響きを保つ さまざまな だが今は轟音と ぶつかる音 馬の蹄の音さえも ただの足音 誰かの声が響いても ただの囁き 不幸.を逃れてみんなが去った 東の方へ 家々の尾根に巣をつくらぬ こうのとり こうのとり
© 宮沢俊一. 翻訳, ?