けだるさが、とかげのように骨を這う 心も醒めた頭も、高揚を知らぬ スビードに胸踊らせず 急旋向にぞっとすることもない 愛に胸寒ぐこともなく 神経はもはや緊張を知らず、破りすてていい 垂れ下った神経は、物干の紐のよう 誰にも構わず、誰からも構われない 馬に乗っていても、押されれば降りる あるのは否定詞ばかり、今の俺には         歯を冷やすために、水は飲まない 事件をも人のことも追い求めない 俺の弓は絃が腐って転がっている 矢はすべて折れ、暖炉で燃やした 集中することも、何かを目指すこともなく 事実に気を奪われることもなく 俺の存在の透明なこと、開いた窓のよう 目立たぬこと、亜麻布のよう 馬に乗っていても、押されれば降りる あるのは否定詞ばかり、今の俺には                                     傷はうずかず、傷痕は痛まない ただ絆創膏が貼ってあるだけ 思想も、疑問も、夢も、俺を 動かさず、悩ませず、ゆすぶらない                             地球の引力と戦うことに疲れ 横になる、その方が少し首つり輪から遠い だが心臓は、俺の外で鼓動しているのか そこへ行く時が来た、何もない所へ 馬に乗っていても、押されれば降りる あるのは否定詞ばかり、今の俺には        
© 宮沢俊一. 翻訳, ?