なんだかどうも違うんだ. 全部いつものようなのに。 同じ空、いつもの青さだ。 同じ森に同じ空気に同じ水。 ただあいつは、戦場から帰らなかった。 今じゃあ、おれにはわからない。 おれたちのどちらが正しかったのか、 寝ずのせわしない言い合いの時には。 あいつがいなくて、物足りないんだ、 あいつが戦場から帰らぬ今ばかりは。 あいつは妙にだんまりをきめ込んでいたり、 調子っぱずれで歌に入ったり。 いつも、とんちんかんなことをしゃべっていた。 あいつはおれを眠らせなかったものさ。 あいつは日の出とともに起きていたんだ。 だけどきのうは、戦場から帰らなかったのさ。                                
© 榎本純子. 翻訳, ?